Blue’s Moods
Blue Mitchell
ブルー・ミッチェルという人はそこまで有名なジャズミュージシャンではなく、脇役的なポジションで渋い活躍をしてきた人です。
大抵のアルバムがそうであるように、このアルバムも1曲目にキラーチューンが配置されています。それもとっておきのキラーチューン「I’ll Close My Eyes」を。
ウィントン・ケリーの宝石のように美しいキラキラしたピアノイントロからはじまるこの曲は、数多くのジャズファンをノックアウトしてきました。
ブルー・ミッチェルのトランペットはまっすぐで、さわやかで、技巧に走らず綺麗なメロディーを紡ぎます。
そこにセンスの塊、ウィントン・ケリーのピアノが絡んでくるから、ぼくは聴くたびに「ジャズっていいなあ」と、小さな幸福感に浸ります。サム・ジョーンズのベースも実にいい。
ジャズ通であるタモリさんも、自身が選ぶジャズアルバムべスト20の中にこれを入れていました。
コルトレーンのような深い精神性はない。モンクのような突出した個性もない。マイルスのような革新性もない。
しかし、ジャズの美しさや楽しさが、このアルバムにはぎっちりと詰まっているのだ。
Blue’s Moods OJC-138 (RLP-9336)
- Blue Mitchell(tp)
- Wynton Kelly(p)
- Sam Jones(b)
- Roy Brooks(ds)