ちょっと前のことになりますが、東京へ遊びに行ってきました。目的は美術館めぐりとレコード屋めぐりです。
ディスク・ユニオンにはじめて行き、その物量に圧倒されました。やっぱり東京はすごい。福岡ではなかなか見かけないレコードもたくさんあったし、オリジナル盤がわりと普通に並んでますね。
東京は流通量が多いぶん、レコードの価格は福岡よりも安いですね。安いというか適性価格なんでしょう。だって福岡だとブルーノートのキング盤が3,000円以上もしますから。なんだかなあ、という感じです。
そして新宿ピットインへ行き、人生初のジャズライブも体感しました。それはそれは素晴しいものでした。
正直、行く前はちょっと不安でした。何が不安だったかというと、ぼくが普段レコードで聴いているようないわゆる「モダンジャズ(アコースティックジャズ)」がちゃんと演奏されるんだろうか?という不安です。もしフュージョンみたいなジャズだったらイヤだなあと、生意気にも思っていたわけです。
お店は階段をおりた地下1階にあり、割と入りやすい雰囲気でした。初心者お断り的な威圧感はまったくないから、ぼくのようなジャズライブ初心者でも、安心して入れます。
こじんまりとしたステージに向かって、テーブル付きの椅子が並んでいます。ぼくは中央の後ろのほうに座り、缶ビールを飲みながら演奏がはじまるのを待ちました。
お客さんはやはり年配の方が多かったです。カジュアルな服装のおじさんが多くて、「なるほど、ジャズファンってこういう感じの人たちが多いのか」と思いました。もっとお洒落なおじさんをイメージしていたけど、普通に休日のサラリーマン的な雰囲気の人が多かったです。
さてこの日、山岸笙子さん(P)林正男さん(B)田村陽介さん(Ds)というピアノトリオだったんですが、演奏がはじまった瞬間「ああ、ジャズだ!」と、ぼくは感動してしまいました。
後から知ったんですが、新宿ピットインは歴史ある正統派ジャズクラブで、数々の有名ジャズミュージシャンのライブが行われてきたそうです。新宿ピットインでシダー・ウォルトンのライヴがあった時は、村上春樹さんも客として来ていて、その時の演奏がレコードにもなっています。
まあとにかく、本物のジャズを生で聴けて、ぼくは大変感激しました。レコードで聴くジャズもいいけど、やっぱりライブはいい。
普段、おいしい料理に出会ったら、なるべくお店の人に「美味しかったです」と伝えるように心がけているぼくは、この日、わざわざ客席まで挨拶に来てくれた山岸笙子さんに何も言えず、ペコっとよそよそしいお辞儀だけしてしまいました。ああ、情けない。
東京へ行ったら、絶対にまた新宿ピットインでジャズを観たいと思っています。
ちなみにぼくの夢はいくつかありますが、ひとつはニューヨークの「Village Vanguard」でジャズを聴くことです。でもまだまだ修行が足りないから、もっとジャズを知って、人生経験を積んで、いつか行けたらいいな。