ROUND ABOUT MIDNIGHT
Miles Davis
とても「ジャズ」を感じるアルバムです。ぼくたちが頭の中でぼんやりと思い描くジャズ像を、くっきりとカタチにして見せてくれる、そんなアルバムです。
1曲目「Round About Midnight」での有名な「てってーて、てってれーれ」のあれ、賛否両論のあれ、ぼくはあんまり好きじゃないかな。ちょっと大げさなアレンジに聴こえます。
そのせいもあってぼくはこのアルバム、2曲目以降が好きなんです。
2曲目の「Ah-Leu-Cha」は、チャーリー・パーカーの曲です。いきなりはじまるマイルスとコルトレーンのユニゾンがめちゃくちゃかっこいい。
合間のフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムがすごく歌っています。歌うドラムっていうのはこういうことだね。フィリー・ジョーのドラムは曲中ずっとかっこいい。この人は本当に曲をイキイキさせるドラムを叩きます。
ピアノソロのあとでまたはじまるマイルスとコルトレーンのユニゾン、ああ、かっこいいなあ。そして歌う フィリー・ジョーのドラム。最期はスパンっと歯切れのいい終わり方。うん、完璧です。かっこいいジャズって、これのことですね。
もしぼくがジャズの寄せ集めアルバムを作るなら、この「Ah-Leu-Cha」は必ず入れたい。それぐらい好きです。
そしてついでに白状してしまうと、本家チャーリー・パーカーの演奏は聴いたことないんです。ずこーっ。やっぱりチャーリー・パーカーのもカッコイイのかな。いつか聴いてみたいです。
4曲目(B面1曲目)の「Bye Bye Blackbird」も、ラストの「Dear Old Stockholm」もすばらしい。
一時期のぼくは「Bye Bye Blackbird」のテーマを口笛でふくのがマイブームになっていました。とても素敵なメロディーです。
「Bye Bye Blackbird」や「Dear Old Stockholm」を聴くと、マイルスは徹底的に考えられた(事前に用意した?)演奏をして、逆にコルトレーンはその場でしぼりだした即興演奏をしたんだな、という風に感じます。
マイルス=演出家。コルトレーン=芸術家。こういう分類はあまりにも乱暴でしょうか。
この時期のコルトレーンは、まだ未熟だなんて言われるけど、「おれは自分にしか吹けないフレーズを吹くんだ」という強い意志を感じて、とても好感が持てます。本当に真面目だったんでしょう。真面目がいきすぎると、ちょっと困ったことになってしまう。それが晩年のコルトレーンの姿かもしれない。
ぼくの持ってるレコードは18APシリーズです。これは当時1800円という低価格で、マイルスの一連の作品を再発したシリーズです。低価格だったせいで音が悪いんじゃない?と思うかもしれませんが、これが実は結構いい音するんですよ。本当に。
レコマ君の連載でも、18APシリーズの意外な音の良さについて言及されています。中古レコード店で見つけた方、ぜひお試しください。
ROUND ABOUT MIDNIGHT 18AP 2052 MONO
- Miles Davis(tp)
- John Coltrane(ts)
- Red Garland(p)
- Paul Chambers(b)
- Philly Joe Jones(ds)