Thelonious in Action
Thelonious Monk
イン・アクションは、モンクのユニークで楽しい側面が強調された、非常に聴きやすいライブアルバムです。
テナー奏者のジョニー・グリフィンが大活躍で、彼はモンクのユニークさに飲まれるどころか、ほぼ完全に自分のモノにしている様子。聴き方によっては、まるでグリフィンのリーダー作のようでもあります。
きっとグリフィンは陽気で、あまり物事を深く考えないタイプだったと思う。顔もそんな感じだし、大御所モンクのことなんてお構いなしに、とても楽しそうに自由気ままに吹いているから。
それを見てモンクは文句を言うどころか「ふむ、グリフィンのやつ、なかなかいいじゃないか、誰とやろうが自分らしさを貫く、それがプロっていうもんさ。」と思ったに違いない。
モンクのパートナーを務めたサックス奏者の中で、ぼくはジョニー・グリフィンが一番モンクの音楽に合っていたと思っています。
コルトレーンだとちょっとお互いストイックすぎるし。ロリンズもいいけど、やっぱりグリフィンかな。
ライナーノーツにはこんなことが書いてあります。
モンクがミントンで演奏するようになった最初のころ、彼の音楽概念についてゆけたのはシャーリー・クリスチャン、ケニー・クラーク、アイドリース・シェリーマン、その他ほんのわずかなミュージシャンにすぎなかった。
1975.5.27 久保田 高司
モンクの音楽はいまの時代に聴いてもじゅうぶん独特なんだから、当時はものすごく独特だったんでしょう。プロの一流ミュージシャンでもそれに合わせるのは難しかったようです。
しかしグリフィンは、そんなモンクの壁を軽々と越えて、自分の個性をいかんなく発揮しています。
グリフィンの実力もすごいし、やはり相性がよかったんだろうな。
ただ性格は間逆っぽいから、気が合ったかどうかは謎ですけどね。
THELONIOUS IN ACTION VIJ-143 STEREO
- Thelonious Monk(p)
- Johnny Griffin(ts)
- Ahmed Abdul-Malik(b)
- Roy Haynes(ds)